それは嘘ではないのか　太陽が冷え切っているなんて
それは本当なのか　海の水が甘いなんて

混乱なんてしない
もしかしたら　混乱しているのかも
焦ってなんてない
もしかしたら　焦っているのかも

もしかしたら　太陽は冷たいのかもしれない
嗤ってしまうようで　何故か心が痛い

それは嘘ではないのか
だんだん分からなくなってくんだ　そんなにいっぱいのこと謂わないで

敗者へ慰安を、あのちっぽけな孤独へ愛を捧げる　見棄てることの無いよう　

つつまじき悲しき自愛では抱えきれない無念を　零れ落ちて海となり自らを溺死させないように　

呼吸を保つのも苦しいのは唯々誰かの愛が欲しいからと謂う、あのちっぽけな孤独を救う手を、号泣する前の吐き気を我慢する、あの憂いを帯びた孤独を救う手を　

現実の前に立ち崩れた　あの背中を支える慈愛を、あのちっぽけな孤独へ　　

もがけどももがけども、太陽の燈は見えません

沫となって全ては消滅するまで　せめてもの懺悔を赦してください　いっそのことこの憎い首をへし折ってそのまま水底に

もがけどももがけども、空の青は見えません

くるし涙となって全てが消滅するまで　雨を降らせて息の根を止めてください　若しくは一抹の憧憬を　

もがけどももがけども、私を救うことは出来ません

もし彼方があと一日で死んでしまうとして（有り得ないと早速否定はしないで欲しい）
あと一日で何をしますかと訊いたときに

(精一杯生きる)

と言った彼方の横顔が美しいと思ったけれど

(できる限り死にたくはないけれど)

と云った彼方の唇のほうが美しいと思った

それが白痴者の戯言でもそこから何かを思い浮かべれば　けれどそれは空虚な妄想では無いのです　それは想像　私達の産物です

綺麗な鼈甲硝子よりも　泥に埋まる石のが綺麗です　

想像し、断定し、信じ込む人形です

想像する人形です　なんという高度な生き物なのでしょうか